IPSG包括歯科医療研究会発信|顎関節症、テレスコープシステムの専門家が歯科医療の現場と実際を綴るブログ:ドイツ式入れ歯リーゲルテレスコープをはじめて日本に紹介した稲葉歯科医院がお届けする、使用感・審美性ともに優れた本当の入れ歯とは?そして歯の治療にまつわるあれこれなど。

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究極の総義歯DVD発売記念講演【その2】

『ライブで見せる究極の総義歯Ⅱ』Blu-ray(&DVD)完成記念講演の模様、【その2】をお伝えいたします☆

稲葉先生が、『上下顎同時印象法』を開発した経緯について、まず、お話しさせていただきました。

1978年ドイツ、チュービンゲン大学の客員教授として留学をしていた際、IVOCLAR社主催の総義歯のセミナーを受講しました。

その時の講師が、Dr.Hans Shleichです。

大変な衝撃を受けたと言います。

日本の教育の総義歯とは全く違う方法で行われていました。

その時IVOCLARでみた方法は、スタディーモデルを上下顎同時印象でアルギン印象で行っていました。

稲葉先生は、これをどうにか、最終印象で、上下同時に、そしてシリコン印象で行いたいと、ずっと考えていました。

そして、20年前稲葉先生が代表を務めるIPSG発足時、Dr.Hans Shleichを招き、IPSG発足記念講演を開催しました。

それから間もなく、稲葉先生は、最終印象を上下顎同時印象で取る方法を開発し、発表しました。

日本の総義歯は非常に遅れています。

配列もギージーの方法のままです。

もちろん、上下顎同時印象法は、特殊なものなので、大学の教育に取り入れられることはありません。

どれだけ、エビデンスがあっても、独特なものは国家試験にでないのです。

なので、大学で取り入れられない。

このテクニックが生まれても、ある一部の方にしかつかわれていない、

なので、今日参加されている先生方は、チャンスだと思います。

Dr.Hans Shleichは引退するとき、すべての資料、スライドを稲葉先生に託しました。

世界中に広めてほしいと。

シュトラックデンチャーを絶やさないでほしいと。

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こちらは、シュトラックがオルソシットの特許を取った時の貴重な写真です。

詳細な顎運動を計測し、ピラミッドの重なりを歯の咬頭とし、人工歯の特許を取得しました。

シュトラックデンチャー

1949年ドイツ、チュービンゲン大学のシュトラック教授は、それまでのギージーによる歯槽頂間線法則を否定し、口腔周囲筋による安定を求めました。

歯槽骨がないような顎堤でも、維持を発揮でき、配列も自由に行うことができます。

シュトラック教授は、チュービンゲン大学のケルバー教授の前の教授で、シュライヒ先生は非常に尊敬している教授でした。

1978年、稲葉先生は、たまたま、シュトラック教授の話をシュライヒ先生に話したことで、仲良くなったといいます。

このように、稲葉先生の『上下顎同時印象法による総義歯』には歴史的背景があります。

なんとなく開発したものではなく、歴史のある総義歯です。

今までは口をあ開いて印象を採る方法でしたが、 咀嚼をするときの印象ではありません。

閉口印象ができれば顎の口腔周囲筋の印象ができ、サポートできます。

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歯科医学の始祖と言われるPhilio Puffが最初に上下顎同時印象を行ったとシュライヒ先生は伝えていました。

そこで、稲葉先生は、実は日本では400年前に木床義歯の印象に蜜蝋による印象が行われていたことを教えてあげたそうです。

1583年、紀伊和歌山からでた木床義歯、その作り方はみつろうをやわらくして口の中にくわえる方法です。

咬合高径から印象まで、とれる日本の上下顎同時印象の歴史は素晴らしいです。

将軍のお墓からでる木床義歯はこのように作られていたのでしょう。

それ以来、日本の木床義歯が最初の同時印象だということになりました^_^ 

総義歯の源流はやはりヨーロッパです。

スイス、ドイツ、オーストリア、リヒテンシュタインあたりが総義歯の源流となります。

300年前ということになると、アメリカはありませんでしたから、やはり総義歯の歴史を辿るとヨーロッパだということになります。

ヨーロッパの多くの学者の業績をまとめあげ、イボクラーのデンチャーシステムを完成させました。

したがって、大変歴史ある総義歯なのです。

ナソマート咬合器はProf.Boettger

印象トレーは、prof.Marxkors

ゴシックアーチトレーサーGnatho Meterはprof.Kleinrok

人工歯OrthositはDr.strack

重合方法Ivocapsystemイボカップシステムは、Dr.シュライヒのオリジナルです。
 

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こちらは、稲葉先生が開発した、SIバイトトレーです☆

SIバイトトレーとは、スタディーモデルを中心位でトランスファーするためのトレーです。
上下顎同時印象を実行する場合に重要な事は、個人トレーとゴシックアーチの描記に使用する装置を製作しなければなりません。
今までは、スタディーモデルを咬合器にトランスファーする際、平均値で製作していたので多少の誤差を生じることがありました。

その誤差を精密印象時に修正していましたが、今回開発されたSIバイトトレーを用いると、より精度が増し、最終印象まで、スムーズに進むことができるようになりました☆

少数歯欠損、レジリエンツテレスコープにも応用でき、とても臨床幅が広いです。

午後は、今回発売されるDVDの一部を先生方にお披露目させていただきました。

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Blue Lay で、すごく綺麗な映像です。

稲葉先生よりも近い目線で撮影した映像は、本当にわかりやすいです。


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技工士の岡部先生の配列は、みごとに鮮やかです。

「切歯乳頭は必ずしも正中ではないので、口蓋縫合をよくみる。自分の正中と模型の正中を合わせてよく模型を観察しないといけません。」

咬筋や頬筋など、義歯が外れる原因となる部位についても、細かく説明されています。

素晴らしぐらいに鮮やかです。

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総義歯セット後、患者様と一緒に食事をして、稲葉先生、わざと食べにくい物をすすめているところです。

おしんこ、こんにゃく、鴨肉などです。

きちんと前歯で噛むことができました^_^

適合が悪かったら痛くて食べることなんかできません。

装着をしてすぐに食べることがどれほどすごいことか、先生方にはお分かり頂けると思います。

「これからが新しい人生ですよ。」

と言う稲葉先生のコメントが 印象的でした。

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セミナー終了後の質疑応答も、初めてご参加の方々からも活発に質問いただきました^_^

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今回、私にとってとても腑に落ちたことは、上下顎同時印象をすることで、閉口印象を採ることができるということですが、翼突口蓋法線の印象を採るということだったということです。

先生方はとっくにご存知かと思いますが、

前歯で噛んだとき、この部分が非常に重要となりますね。

翼突口蓋法線は口を閉じない採れない部位です。

開いた状態だと隙間が空き、浮き上がります。

翼突口蓋法線の印象精度を高めるためにも稲葉先生の、『上下顎同時印象』は本当に素晴らしい方法だと感じました。

 

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武先生の花束、本当に素敵でした。

きっと、患者様にも気配りの細やかな先生なんだろうなって思いました☆♪

今回セミナーにご参加いただいたアンケートの一部をお伝えします。

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◆総義歯の勉強会の資料として、このブルーレイがベストなものだと思います。

◆細部まで鮮明に写っていて素晴らしいディスクです。完成したシステムで無駄がないことが再確認できました。

◆とてもきれいな映像でわかりやすかったです。

◆歯科医師として最善の方法を実践できるというこがこの上ない喜びです。更に学び実践していきたいと思います。ありがとうございました。あらためて究極のデンチャーがあるという感をつよくしました。

◆とにかくすごいの一言です。もっと勉強します。

◆とても勉強になりました。これからも義歯製作の1つ1つの細かな所も勉強していきたいと思います。

◆大変勉強になりました。咬合、総義歯について更に勉強したくなりました。

◆とても勉強になりました。これからも義歯製作の1つ1つの細かな所も勉強していきたいと思います。

◆午前の歴史の話はふだん聞く機会も少ないので非常におもしろかったです。今、普段BPSで作っていましたが似ているようでいて違うところが多くすごく勉強になりました。また明日から頑張る気になれました。

◆とても分かりやすい内容で映像もきれいでした。参加して良かったです。なかなか技工の流れを知る機会がなかったのでとても大切だと感じました。

*:..o○☆゜・:,*:..o○☆*:゜・:,*:.o○☆゜・:,

ご参加いただいた、先生方、本当にありがとうございました☆♪

ぜひ、7月13~15日 (土・日・月)に開催される、総義歯ライブ実習コースにもご参加いただき、本物を確かめていただきたいと思います。

 




2013年02月19日

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