IPSG包括歯科医療研究会発信|顎関節症、テレスコープシステムの専門家が歯科医療の現場と実際を綴るブログ:ドイツ式入れ歯リーゲルテレスコープをはじめて日本に紹介した稲葉歯科医院がお届けする、使用感・審美性ともに優れた本当の入れ歯とは?そして歯の治療にまつわるあれこれなど。

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保険制度の限界

昭和36年から始まった国民皆保険制度は当時の経済状況の中で、医療の恩恵を国民が誰でも受けることができることを前提とした、いわゆる弱者救済を基本にしたものです。

憲法で保障されら健康保持の権利を守るために生まれたもので、最善で最新の医療をうけられる制度とはいえないものです。

世界に誇る日本の保険制度とはいっても、その内容はとても高いとはいえません。

私たち歯科医師自身が治療を受けようと思った時、この保険精度の枠の中だけで治療してほしいと思う人は皆無であると言っても間違いと思います。自分の口の中に黒い金属の12%金パラを使い、見えるところに金属の被せ物をしたり、歯を失ったところに「ばね」のついた義歯を入れたいと考える人は少ないでしょう。

その結果として、多くの歯科医師が保険の範囲の中で努力して治療を行っても、最終的には歯を失っていく構造が出来上がっているのです。事実、この保険制度の結果は歯科疾患実態調査に現れています。

現在の保険制度は、歯科医師が努力しても報われない制度です。国民にとってもまじめに治療に通っても最後は歯を失ってしまう結果となります。

歯を失わない予防対策が実施されるような制度に転換していかなければなりません。

諸外国においては、すでに保険でカバーされるのは予防のみで補綴は一切除外される傾向にあります。

歯科治療をしたことを他人に悟られずに自然にみえるようにするのが本来の目的です。日本人の誰もが美しい歯並びをもち、白い歯の笑顔がみられるようになってこそ、歯科関係者の地位が高まり、国際的にも日本の評価が高まるでしょう。

このような感覚を身につけるためには、保険制度の改革が必要であり、保険制度を中心とした大学の臨床教育から、本来あるべき「最善の医療」を考えた教育への転換が必要不可欠です。

世の中は健康ブームで、健康のためにフィットネスクラブや個人トレーニングに通い、大変盛況なようです。

通信販売での健康食品も飛ぶように売れています。

このような風潮を歯科界に上手に導くことが必要です。その傾向はみえ始めています。口元を綺麗にしたい、歯を綺麗にしたいという願望が強まってきています。ホワイトニングや、セラミック治療で白い歯になりたいという人も多くなってきています。

しかし、そのような治療は健康保険では対応できません。

国民の歯科医療に対する要求と健康保険制度の間にアンバランスが生まれた結果、国民の歯科医療に対する不信感が増すばかりです。

保険ですべての治療ができるというような誤解を生む発言は避けるべきであり、治療の限界を正しく知らせるべきである。そうでなければ歯科医療の発展は望めないばかりか、国民が不幸になってしまいます。

 




2010年05月24日

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