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【IPSG包括歯科医療研究会】

装着後のトラブルとその対応~義歯に問題が生じた時~

コーヌステレスコープのように強固に一体化している補綴物では、独特なトラブルが生じることがあります。

ドクターからの質問に稲葉繁先生がお答えします。

Q.上顎の右側3番から左側4番、左側7番を利用したコーヌステレスコープを作りましたが、しばらくすると床がわれてきてしまいました。何か原因があるのでしょうか?口蓋は床で覆ってしっかり安全な形にしたはずなのですが・・・・

A.テレスコープデンチャーの場合、支台歯は数歯のコーヌステレスコープにより支持されているため、緩衝作用はほとんどなく、咬合力は直接、義歯床に伝達されます。このため、構造的に弱い部分に応力が集中し、破折をきたす場合があります

義歯の設計に際し、クラスプデンチャーとは異なった静力学的設計を行う必要があります。

クラスプの場合、維持歯とクラスプは強固に固定されることはなく、わずかな動きがあるのが普通です。しかしテレスコープデンチャーの場合は、テレスコープ内冠を外冠が取り囲み、歯軸の方向に強固に固定され、わずかな動きもみせません。

したがって、咬合力はそのまま歯軸の方向に伝達し、顎骨に分配されています。しかし遊離端を含む義歯においては、粘膜の沈下量と歯根膜の許容量に差があるため、義歯部に応用を生じ、繰り返し荷重により義歯床の破折にいたります。破折線は、図のように義歯の回転軸の方向と一致するのが一般的です。

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破折を防止するためには、金属床を用いるほうがよいと思われるが、金属床といえども繰り返しの咀嚼による負荷により破折することもあるため、予想される破折方向に対し、加強しておかなければいけません。パラタルバーを用いる時は、はり構造を採用すると強化できます。

金属床を用いる場合、歯肉部にレジンを用いるため、金属部との境界に応力が集中し、破折を招く場合があります。その防止のためには、維持格子はスケルトン部に十分なレジンの厚みを確保するとともに、できれば金属部にリテンションビーズを使うか、金属との接着剤の使用を推奨します。

 

 

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幅の狭いバーは、はり構造によって強度を高めることができます。

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完成したトーションバーを応用したテレスコープデンチャー。このバーにより反対方向への力を少なくします。

今回のご質問のケースでは、床で覆わずに、トーションバーで対応し、さらにはり構造で強化をすると、破折を防ぐことができ、また、患者さんにも喜ばれると思いますので、試してみてください。

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