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インプラント時代の部分入れ歯

部分入れ歯のバーについて

PARTIAL DENTURE (部分入れ歯)

 部分入れ歯とは歯が一本抜けてしまったところから一本しか残っていない状態までの取り外しの床がついた入れ歯のことをいいます。

歯の本数が少ない場合、安定が悪いため、両側をバーという金属で補強します。

そのバーの種類についてお話します。

保険で適応されるパラタルバーについて

これは右と左の部分入れ歯をただ、既成の金属でつないだだけのものです。

そのため、かんだ力がそのまま反対に伝わってしまう、悪い設計だと、かんだ力でバーをてこににして、反対の歯を抜いてしまうような力がかかってしまうことがあります。

バーの設計は歯を守るために、実は非常に大切なものです!

バーの種類、設計によって、歯を守るものと、悪くしてしまうものがあります。

稲葉歯科医院では患者様の歯の状態によって、バーの設計をしています。

かんだ力が反対の歯にほとんど力が伝わらないようなバーの設計をして、歯を守ります。

もちろん既成のバーではなくて患者様のあごにあわせたオーダメイドの鋳造床です。

金属の種類は、チタン、金、コバルトクロムがありますが、それぞれ精密で頑丈です。

後パラタルバー(トーションバー)

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トーションバーはねじれた形をしていて、たとえば右側でかんだ力をバーで吸収して、左側にうつさないような形になっています。

アディダスの靴の底にトーションシステムというのがあります。

これは、歩いた時の衝撃をトーションシステムのねじれた形で吸収して前足と後ろ足に伝わらないようして負担を軽減するようなクッションです。

それと同じような考えがトーションバーです。

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上あごの後ろの方にバーがくるので舌のじゃまになるのでは?

と思うかも知れませんが、前の方にくるほうが舌のじゃまになるのです。

前の方にバーがあると、入れ歯の安定も悪く、発音に関与する場所でもあるので話しがしずらくなります。

後ろにバーがあると、入れ歯の安定がよくなり、発音もよくなります。

硬い口蓋骨のところにバーがあり、嘔吐反応もありません。

バーが中途半端な場所にあると気になってしまいますし、軟らかい軟組織にバーがあると沈みこんだりして違和感があったりします。

このバーにより歯全体を強く連結し、守るような形になります。

シュパルテ 

 

 
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そして、この床の形がシュパルテです。

とても斬新な形で一見これが口の中に入ると違和感を感じそうですが、これが本当に結果がいいのです。

非常にデリケートな方にも受け入れてもらえていて、みなさんそろって「違和感がない」とおっしゃっていただけます。

先日、シュパルテを入れた患者様に使い心地を聞いてみたところ、

「保険の入れ歯を簡易的にいれたら、前の方にバーがあったため、発音がうまくできないし、食事がおいしくなくて、人生の楽しみが半分なくなった感じがし
ちゃったよ、この入れ歯になってから、発音はなにも問題がないし、入れ歯が動くことがないからこの前は上海ガニをバリバリ食べたよ!」

アハハハと笑って話して下さいました。

本当にこんな風に感じている方が多いのです。

しかもトーションバーのねじれによって力を吸収するのと一緒で、アルファベットのEの形で真ん中に伸びたところで力を吸収します。

トーションバーも優れていますが、最近は圧倒的にこのシュパルテで対応することが多くなりました。

シュパルテは、リヒテンシュタインのDR.シュライヒ から教わりました。

DR.シュライヒは総入れ歯で非常に有名な先生で、わたしたち家族もとても仲良くしていて、引退された今でも交流があります。

リンガルバー

 

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下の歯に対しては、リンガルバーというバーで対応しています。

上の歯はリーゲルテレスコープで鍵が二つ、そしてリンガルバーによってたわまないようにしています。

バーそ下のほうにもってくることで発音をしやすくしています。

また清掃性もよくしてあります。

バーの設計をしないで、ただ両側をつなげるだけではなんの意味もないばかりでなく、てこ作用によって、歯を抜いてしまうかもしれません。

 

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インプラント時代の部分入れ歯

8020の鍵は部分入れ歯です。

8020の鍵は部分入れ歯です。

8020運動って聞いたことありますか?

80歳で20本の歯を保とう。20本の歯があればたいていのものは食べることができるということで厚生省がはじめた運動です。

80歳で20本の歯を保つことができるには部分入れ歯が鍵になります。

歯の抜けるのは老化現象ではありません。

歯の抜ける原因はむし歯、歯槽膿漏によるものがほとんどです。

その他で歯を失う原因は歯にかかる力、無理にかかる力によって抜けてしまうことがあります。

たとえば、部分入れ歯の金具のばねは密着はしていますが接着はしていません。

入れ歯が動くと、歯も動かしてしまいます。

とくに歯は横揺れに非常に弱いため、部分入れ歯の金具(バネ)によって、本人がわからないぐらいゆっくりと歯を抜いてしまう作用が加わります。

それと、部分入れ歯を左右でつなぐバーの設計によっても、歯をてこの力で抜いてしまうような作用が加わります。

とりはずしの部分入れ歯になったときに、歯を守るような入れ歯をはめているかによって、80歳で20本の歯を保てるかどうかが決まってしまうといってもいいでしょう。

ただ、抜けてしまった歯を埋めることではなく、全体を見て残っている歯をいかに長持ちをさせるかということを設計し、将来を想定できるような入れ歯でなくてはいけません。

部分入れ歯の治療に際し、必要な知識と技術は、虫歯により歯を一本かぶせ物をする要素から、総入れ歯の要素まで必要です。

部分入れ歯になった方の多くはかみ合わせの崩壊をともなうことから、治療に際してはかみ合わせの知識とそれを治すことができる技術をはじめとして、歯周組織の管理、歯の神経の治療の理論と技術ももちあわせていることが必然になります。

 

部分入れ歯の設計 

 

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大切なことは、全身から診断すること、三次元的に基準面を捉えることです。

かみ合わせの平面は、歯のある方も入れ歯の方も同じです。

体の正中に対してかみ合わせの平面が垂直で左右対称であるように設計します。

これが非常に大切です。

目の位置、耳の位置、左右の腰椎やひざの位置など、それぞれ左右対称です。

歯はどうか? 頬や唇でかくれていますが、やはりかみ合わせの平面は左右対称でなくてはいけません。

 

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歯がすべてある方にたいしても、部分入れ歯、総入れ歯の方に対してもこの三次元的な記録(フェイスボートランスファー)は必須です。

力の関係でもうひとつ大切なのは、入れ歯による粘膜の沈み込みと、歯の沈み込みの被圧縮度が異なるため、それも配慮しなくてはいけません。

大切なのは、入れ歯を入れたために歯をうしなってはならないのです。

入れ歯の治療計画、12のチェック事項

① 歯が抜けてない部分はどこか。(欠損の組み合わせは2億6千8百以上あります)

② 歯のすりへりがあるかどうか。(歯のすりへりが多い場合は、そこに過度の負荷がかかっているため、

   そこをチェックします。

③ 歯がグラグラしていないか。

④ 残っている歯を連結固定するべきか。(一本一本離れているよりも、連結固定したほうが強くなります。)

⑤ 顎のリラックスしている状態でかめているかどうか。筋肉のリラックスしている位置でかめるかどうか。

⑥ かみ合わせの平面がくずれていないか。

⑦ 口を開けるときまっすぐ開けることができるかどうか。

⑧ かみ合わせた時、上下の歯がかめない、あたらないところがないかどうか。

⑨ 神経筋系の機能に障害があるか。

⑩ 口の中は衛生的になっているかどうか。

⑪ 残っている歯のむし歯の予防対策がしてあるかどうか。

⑫ 審美的な状態は改善できるか。

 

というところを初診時にチェックします。