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【顎関節症】

『顎関節症の診断と治療』【後半】

後半はIPSG副会長、岩田光司先生の講演の内容をお伝えします(^_<)-☆ 


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顎関節の状態がどのようになっているのか。

についての分類法について、岩田先生から詳しく解説がありました。

上記パワーポイントのように、

Stage1:関節円板に乗って動きは正常ですが、筋肉に緊張がある状態です。

目標の顎位は、Zone of Centric Relation.

Stage2:関節円板の転移があるけど、再び戻る状態です。

この状態の目標顎位は、Adaptional Functional Position On the Disk.

関節円板に乗った状態で治療することができます。

Stage3:関節円板が落ちっぱなし。復位してこない状態です。

このような場合は、補綴や義歯によって、顆頭を下げて痛みをとってあげます。 

KaVoのプロターのPDRインサートを挙上することで、顆頭を下げることができます。

PDRインサートの挙上量についても岩田先生の研究内容を詳しく先生方にお聞きいただきました。 

スプリントについても、

Stage1.Stage2は、リラキゼーショナルスプリントを用います。


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リラキゼーショナルスプリントとは、下顎頭と下顎窩、関節円板が正常な場合、筋肉の緊張を和らげるもので、治療後の最終的な咬合形態をとるものです。

これは、フルバランスの状態で顎が自由に動く位置です。

前歯と臼歯のハーモニーがとれた状態は顎関節を守ります。

あまり前歯誘導型のようなスプリントはおすすめできません。

その理由は、前歯で誘導することにより顎関節に異常な力が入ってしまうからです。

前歯部の一か所に力がはいると、テコの作用で咬筋が収縮し、関節に力が入ります。

前歯の誘導は関節がしっかりしている正常な場合のみ付与するものなので、気を付けてください。

Stage3においては、やはりPDRインサートを用いて顆頭を下げた状態で、フルバランスで作るスプリントで対応します。 

また、前歯誘導にしないといけない症例は開咬です。

開咬の場合は臼歯が誘導している形態ですから、非常に筋肉の緊張がみられます。

そして、臼歯の異常な力がはいるためすり減り、動揺などの障害がでてきます。

その場合はできるだけ関節から離れた前歯に誘導をもとめて臼歯を守るべきです。

スプリントはただ装着すればよいのではなく、症状によって咬合をカスタマイズする必要があります。

歯が噛み合わなければいいというものではありません。

最終的にいつまでもスプリントをはめているわけにいかないので、根本的な原因を咬合診断で探し、除去することが大前提です。


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PDRインサートとは、上下の模型を中心位または咬頭嵌合位で付着後、下顎頭を任意の方向に動かすことができる道具です。

Pは前方に、Dは下方にRは後方に調節することができます。

KaVoの説明では、先生のバイトの位置がずれてると思われるときに、技工士が任意に調整するための道具だといいます。

稲葉先生は、PDRインサートを用いて、それ以上のすばらしい使い方をしています。

顎関節症の患者様の補綴物、義歯の製作の時に使用しています。

「顆頭を下げる」

という概念は考えもしないかもしれませんが稲葉先生は、実験でも証明しています。

顎関節症時、円板の前方転位があった場合、円板の厚みの量3ミリを顆頭を下げることにPDRインサートを利用しています。

他の用途で作ったPDRインサートですが、副産物として、すばらしい機構をもっています。

このような咬合器は数少ないと思います。 

 


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顎関節の梃子現象についてや、関節円板の脱落を検査する、レジリエンツテストについても、

わかりやすいパワーポイントを用いて説明いただきました。

岩田先生の情報量は溢れるほどで、今回用意していただいた内容は膨大でした。

質問には即答。

どんなことにも迷いなく答えてらした、岩田先生は素晴らしいなと思いました(^_^)

来月4月12.13日には、『顎関節症ライブ実習コース』も開催されます。 

詳しくはこちらです!

 『顎関節症ライブ実習コース』

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お待たせいたしました!! 

お忙しくてライブ実習にいらっしゃれない先生方には、 

『ライブで見せる顎関節症の診断と治療』

のDVDが完成しました(^_<)-☆  

▼商品内容

この作品は”顎関節症は治らない”という定説を覆した、

稲葉繁の本格的な顎関節症の治癒を、

たったの2日間で実施するライブの記録です。

6年間から7年間も顎関節症で苦しまれていた患者様の、

治療直後の感想は何よりも代えがたい歯科医の冥利に尽きるものである。

※術後の患者様の家庭療法も必見。

▼Blu-ray / DVDの収録内容の詳細はこちらから

・ライブで見せる 顎関節症の診断と治療 

 


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今回も非常に沢山の先生方にお集りいただき、誠にありがとうございましたm(_ _)m

 

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【顎関節症】

『顎関節症の診断と治療』開催されました【前半】

IPSG事務局、稲葉由里子です。

2014年3月9日『顎関節症の診断と治療』セミナー

稲葉先生と、IPSG副会長岩田光司先生のコラボセミナーが開催されましたので、【前半】【後半】に渡り、ご報告させて頂きたいと思います。 


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現在、日本では顎関節症とオクルージョン(咬合)は関係ないと言う風潮があります。

本当にそうなのでしょうか?

ヨーロッパでは顎関節症とオクルージョンの論文、書籍が沢山でています。

ドイツでは、マールブルグ大学のLotzmann教授、オーストリアではウィーンのSlavicek教授もオクルージョンからのアプローチで顎関節症を治療しています。 


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こちらは、ラウリツェン、スチュアート、そしてPK.トーマス。

ナソロジーの三大巨匠です。

中心位の概念が違っていたとしても、ナソロジーの全てが間違っていたわけではありません。

歯科医師であるならば、ナソロジーは一度はきちんと学ぶべき大切なことです。 

と稲葉先生から話がありました(^_^) 


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稲葉繁が、ドイツへの渡独を決意した、顎関節症の権威 Prof.Schulteの論文について、お伝えさせていただきました。

セミナーの中で、

「これ、一番大切です。」

 と伝えるほど、重要な内容です。

ぜひ、読んで頂きたいと思います(^_<)-☆

 

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【機能分析と理学療法の目標】

ー442名の顎関節症患者の経験からー 

Gezielte Funktionsanalyse und Physio-Therapie-Erfahrugen bei 442 Patienten mit Myoarthropathien-

W.Schulte

Dtsh Zahnarzt  Z,27:779-795,1972.

新しい論文ではありませんが、当時、顎関節症の治療に取り組んで間もない頃で、診断から治療法がまだ不透明であった時に、各種の論文を漁っていた際に出合った論文で、慣れないドイツ語を読み、大変システム化し、明快に診断から治療法までを、多くの患者をもとに体系づけたもので、1970年のW.Schulteの論文に出合い、頭の中が整理されたことを今も記憶しています。

またドイツへの留学を決意させてくれた私にとって忘れる事の出来ない論文です。

1978年にドイツチュービンゲン大学に留学し、Prof.W.Schulteの講義を2週間にわたり、早期から夜遅くまで聴講し、その整理された内容の高い講義に感銘しました。

442名の顎関節症の患者を詳細に分析し、診断から治療法をシステム化し、90%の症例で、この方法が応用できる事を述べています。

患者の性別では、女性が71.2%、男性が28.8%であり、年齢層を10才ごとに分けると21才から30才までの患者が最も多いのがわかりました。

診断は疼痛および運動障害の診査を行い、自発痛、運動痛および圧痛が左右どちらにあるか、また開口時の下顎の偏位が左右どちらにあるかをもとに、チャートを用いて、5つの典型的なシェーマを選択し、そのシェーマの内容と患者の症状および口腔内の状態を比較し診断します。


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1例をあげると、患者の主疼痛側が右側にあり、下顎の側方への偏位が右側に存在する場合、上記のシェーマを選択します。

この場合の疼痛の原因としては、右側の運動に作用する筋の過緊張があり、早期接触および滑走右側に向かう、また就寝時の体位と主咀嚼側かどちらを質問します。

最大開口位で顎関節のレントゲンを撮影してみると、右側は前方に移動せず、左側は、前方に滑走しているはずです。

口腔内の観察では、このような患者では、右側においては、 

  1. 上顎の智歯の挺出
  2. 下顎智歯の慢性炎症
  3. 側切歯から第一大臼歯にかけての偏心咬合とそれにともなう咬耗面がある
  4. 咬合支持を失っており、左側への偏心咬合がある
左側においては、
  1. 下顎智歯の挺出
  2. 上下顎大臼歯部の早期接触が認められる
  3. 義歯の沈下等の咬合不均衡がある 
筋の触診では右側の顎二復筋後腹、咬筋、および側頭筋の疼痛、左側の外側翼突筋、側頭筋の疼痛が認めらます。
 
以上のような診断をした結果90%の人がNo.1~No.5までのシェーマに入り、これをもとに治療法の決定を行います。
治療法は主に4つの段階を踏むが、第一段階である理学療法や咬合調整で2週間程度で治癒に向かい、20%の人は2ヶ月以上を要し、11.2%の人は、他の原因であったと述べています。
 

 


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右側に痛みを訴えたならば、さらに最大開口していただき、下顎の側方偏位の方向を調べてみます。

右側に偏位が認められた場合は、上記の図に示した状態が認められる事が多いはずです。

 

多くの場合、顎関節のX線写真では、最大開口位で右側はほとんど位置の異常は認められないか、あるいはわずかに後方にあり、左側は顆頭が前方に位置しています。

 

口腔内を観察してみると、右側では下顎の智歯が欠損し、上顎の智歯が挺出しています。

左側に目を移してみると、下顎智歯の挺出があり、下顎の前方運動を妨げています。

 

大臼歯部の咬頭干渉や、不正なテコ現象、早期接触、不正咬合や義歯の異常な咬耗が認められることが多くあります。

このような場合、筋の触診にいては、右側では咬筋、側頭筋、顎二腹筋後腹、後頸筋群に、左側では側頭筋および外側翼突筋に圧痛が認められることが多いです。

 

以上のように、

主疼痛側が右側にあり、開口時の右側への偏位が認められる場合にかなり当てはまる事が多いのですが、同様の症状は主疼痛側が左側にあり、下顎の偏位が右側にある場合も認められます。  


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これとは逆に、主疼痛側が左側にあり、下顎の偏位が左側に認められる場合や、主疼痛側が右側にあり、下顎の偏位が左側に認められる場合は、前記の状態とは正反対になります。

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まずは、患者様がいらっしゃったとき、口を開いていただく。
S字状カーブから、様々なことを読み解くことができるようになって頂きたいと思います。

 

ということで。  

 

後半は  IPSG副会長岩田光司先生の講演をお伝えします(^_<)-☆

 

 

 

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【顎関節症】

顎関節症の権威 Prof.Schulteの論文について

IPSG事務局、稲葉由里子です。

稲葉繁が、ドイツへの渡独を決意した、顎関節症の権威 Prof.Schulteの論文について、お伝えします。


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顎口腔系の機能障害(Funktionstoerungen)の診断と治療で高名なTuebingen大学のProf.Schulteは、442名の治癒例を詳細に分析し、独特な診断・治療法を確立しました。

 

稲葉先生はSchlteのシステム化された治療方針に従い、治療を行い効果をあげています。 


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もし右側に痛みを訴えたならば、さらに最大開口していただき、下顎の側方偏位の方向を調べてみます。

右側に偏位が認められた場合は、上記の図に示した状態が認められる事が多いはずです。

 

多くの場合、顎関節のX線写真では、最大開口位で右側はほとんど位置の異常は認められないか、あるいはわずかに後方にあり、左側は顆頭が前方に位置しています。

 

口腔内を観察してみると、右側では下顎の智歯が欠損し、上顎の智歯が挺出しています。

左側に目を移してみると、下顎智歯の挺出があり、下顎の前方運動を妨げています。

 

大臼歯部の咬頭干渉や、不正なテコ現象、早期接触、不正咬合や義歯の異常な咬耗が認められることが多くあります。

このような場合、筋の触診にいては、右側では咬筋、側頭筋、顎二腹筋後腹、後頸筋群に、左側では側頭筋および外側翼突筋に圧痛が認められることが多いです。

 

以上のように、

主疼痛側が右側にあり、開口時の右側への偏位が認められる場合にかなり当てはまる事が多いのですが、同様の症状は主疼痛側が左側にあり、下顎の偏位が右側にある場合も認められます。  


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これとは逆に、主疼痛側が左側にあり、下顎の偏位が左側に認められる場合や、主疼痛側が右側にあり、下顎の偏位が左側に認められる場合は、前記の状態とは正反対になります。

 

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次回は、Prof.Schulteのシステム化された治療方針についてお伝えします(^_<)-☆

 

 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

第3回『成功曲線を描こう』石原明先生+稲葉繁先生コラボセミナー開催されました☆

こんにちは。

IPSG事務局、稲葉由里子です。 

2月23日(日)、第3回『成功曲線を描こう』石原明先生+稲葉繁先生コラボセミナーが開催されたので、前半に引き続き、後半の模様をお届けしたいと思います。

コラボセミナーは3ヶ月に1度、計6回に渡り開催しています。

毎回テーマが違うので、ご興味のある内容がありましたら、ぜひお問い合わせくださいませ。


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今回のテーマは『目標設定ープランニングの技術を学ぶー』

ということで、お話をいただきました☆

漠然とした目標やプランでは、いくらやる気を起こそうとしても長続きするものではありません。

目標設定・プランニングには、技術があります。

いつも目標を達成する人は、自然にこの技術を身につけています。

目標が現実に達成に向かうイメージや、達成に向けてどう取り組むかということからスタートしています。

目標は、ワクワクドキドキ、感情的に持つことで、潜在能力を引き出せる形で持つのですが、それを達成するためのプランは理性的に立てるというのが、目標設定(プランニングを学ぶ)の内容です。

目標を確実に達成させるためのプランの立て方と、その目標が具体的にどんな形で達成に向かうのかということを具体的に解説いただきました(^_<)-☆  


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今回、目標設定と一緒に詳しくお話しいただいたのが、『成功曲線』でした。
私は5年程前に、『成功曲線を描こう』セミナーを受けさせていただいたのですが、
その時受けた衝撃が、また蘇ってきました。
 
石原先生の目標の立て方はとても独特だと思いますが、いつの間にか達成できてしまうから不思議です(^_^)
 
普通、目標設定をして達成できる確立は50%ほどだと言われていますが、今回のセミナーで教えていただいたことを実践すると、100%近くにすることができるでしょう。
 
すべての目標は成功曲線を描いて達成します。
 
成功曲線が低い時には、
「行動すれば次の現実」
というイメージをもって成功曲線を押し切る。
 
なかなか結果がでないと、目標をあきらめてしまいがちです(-_-)
でも、頭の中に成功曲線があれば、自分がどのあたりにいるのか、これから上がって行くために何を準備する必要があるのかがみえてきます。  
 
ページをめくることで、可能性を切り開く事ができるという言葉は、わたしも5年間ずっと意識してきました。
 
ページをはやくめくることで、成功曲線を加速することができる。
ということも、体験でわかりました。
 
目標達成はジグソーパズルのようです。
埋めれば埋めるほど、次に埋める可能性が高くなります。 
 
成功曲線が低い前半は、ゆっくりだけど確実に。
低いときこそ、「仕事は親切、仮説と検証」
で、人間関係も丁寧に作り上げて行く事が大切です。
 
成功曲線は、皆から必要とされて 結果として上がって行きます。
その時の状態を石原先生は、自分では自分の成功を止められないっておっしゃっていました。笑
 


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今回のセミナーの中で印象的だったことは、

「一日の中で、未来を作る行動をいくつしていますか?」

という質問です。

一日、家の中でじっとしていても、世の中は動いて行きます。

『行動すれば次の現実』

成功曲線が低い時には、ページをめくることで、思わぬ出会いがあります。

セレンディピティ、私の好きな言葉のひとつです。

ふとした偶然をきっかけにひらめきを得、幸運をつかみ取る能力。

世の中には、実はチャンスがいっぱいあふれていて、そこにもあるしここにもあるってことです。

石原先生のおっしゃる『行動すれば次の現実』といつも重ねて意識してきました。

言葉の力ってすごいですね。 

ぜひ、未来を作る行動を起こしていただきたいと思います。

そして、その次に必要になるのが、タイムマネージメントですね(^_<)-☆

次回のコラボセミナーもぜひお楽しみになさってください♪

 

 
 
 
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【IPSG包括歯科医療研究会】

2014『パーシャルデンチャー・テレスコープシステム実習コース』開催されました☆

こんにちは。

IPSG事務局、稲葉由里子です。

2014年2月8.9日(土・日)『パーシャルデンチャー・テレスコープシステム実習コース』が開催されました。

当日、東京は16年ぶりの大雪となりました。

足下も悪く、いらっしゃれるかどうか大変心配しておりましたが、すべての先生が無事到着。

大変充実した実習コースを開催することができました(^_^) 

今回は一日目、二日目、前半と後半と分けてご報告させていただきたいと思います♪ 


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 最近、パーシャルデンチャーが随分話題になっているようです。

固定性のインプラントから、取り外しのできるパーシャルデンチャーが見直されているようです。

更に、インプラントの上部構造に可撤性テレスコープシステムを応用することで、新しい第三の選択肢を患者様に提供できるようになりました。

インプラントオーバーデンチャーというのを一部の方が取り入れていますが、そんな簡単なものではなく、稲葉先生がお伝えしたいのは、粘膜の沈み込みをきちんと考え、支台歯を一次固定できるようなテレスコープシステムです。

日本はアメリカの情報は入りやすいのですが、稲葉先生が1978年にチュービンゲンに留学した当時から変わらず、ドイツを含めヨーロッパの情報は入ってきません。


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こちらは、30年前、1987年にクインテッセンスのQDTから出版した

『現代のテレスコープシステム』

です。

当時、稲葉先生は直接、K.H.Koerber. E.Koerber. H.Gruendler. にお願いして執筆してもらったそうです。

少数残存歯に体するレジリエンツ・テレスコープや、アンカーバンド・テレスコープ、そしてチャンネル・ショルダー・ピン アタッチメントについて詳しく書かれている貴重な本です。 


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稲葉先生は、1978年チュービンゲン大学へ客員教授として招かれました。

当時、遠い果てから来た日本人に対して、誰からも興味を持ってもらえなかったそうです(-_-) 

ある事をきっかけに、興味を持ってもらえるようになりました。

それは・・・ 

チュービンゲン大学の補綴科に置いてあった、スチュワートの咬合器。

誰も使い方がわからなかったそうですが、稲葉先生が使いこなせたからです。

その時から、皆にプロフェッサーとして呼ばれるようになりなりました。

稲葉先生は、実はテレスコープシステムではなく、顎関節症の権威、シュルテ教授の講義を受けたくて留学を決意しました。

そこで、見た事もないテレスコープ義歯、リーゲル、コーヌス、レジリエンツテレスコープを直接現地で学ぶチャンスを得る事ができました。


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この本は、Karlheinz Koerber教授のKonuskronen,コーヌスクローネの原書です。

もちろんドイツ語で書かれているのですが、稲葉先生がボロボロになるまで読んだコーヌスクローネの教科書です。

一次固定、二次固定、コーヌスクローネの設計、製作法、適応症、禁忌症、コーヌス角についてやネガティブヴィンケルの解決法など、沢山の事がこの一冊に書かれています。 


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コーヌスクローネは、沢山のルールや製作法があってはじめて成功するものであって、自己流で製作するものではありません。

テレスコープの本場ドイツで、直接学び、そして自らがその指導者として広めてきた稲葉先生ではないと伝えられない情報が盛りだくさんでした。 



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こちらは、IPSG副会長、岩田光司先生のパワーポイントです☆

一次固定 固定性補綴物で直接歯を固定する方法

二次固定 義歯によって支台歯が固定される方法 

について説明がありました。 


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コーヌス角は6度を基本としますが、 

ハフトコーヌス(支持コーヌス)とシュトゥットコーヌス(維持コーヌス)という目的に応じたコーヌスクローネがあります。

維持力をとくに重視するコーヌスクローネと、咬合面にかかる咬合力に対応させるコーヌスクローネというように、 目的を変えて使う事も必要です。  

作業の単純さ、誤差を防止すること、作業能率の面からできれば6度に統一することを原則にしていますが、 前歯と臼歯に植立方向の差が大きい場合や、維持歯の傾斜が強い場合はこの限りではありません。

無理に6度に統一しようとした場合、ネガティブ ヴィンケル(アンダーカット) が生じ清掃性に問題が出てしまうからです。

また骨植状態から考えてどうしても負担をかけたくない歯は、8度なり10度にすることもあります。

その場合、維持力は期待できませんので、他に維持歯があるときに限ります。 


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そして、ラボインテックの高木清孝先生のデモの様子です(^_^)


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コナトアを使い、コーヌスの着脱方向や角度決めをしている様子です。 


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先生方も大変熱心に受けていただきました。 


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勉強の後は、懇親会です!

大雪の中、ほとんどの先生にご参加いただきました。 


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懇親会でも、テレスコープの話題で盛り上がり、先生方の熱意を感じました(^_^)  


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稲葉先生も、質問に答えたり、リラックスモード。

明日も引き続き頑張りましょう。

ということで、一日目が終了しました。

明日のレポートは、稲葉歯科医院の佐藤孝仁先生にお願いしています(^_<)-☆ 

 

 

 

 

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ヨーロッパの歯科事情

ドイツ最先端の歯科技術

こんにちは。

IPSG事務局、稲葉由里子です。 

1月13日、IPSG20周年特別講演会関連セミナーとして、『テレスコープシステムセミナー』が 開催されました。

今回、大変素晴らしいゲストスピーカーをお招きいたしました(^_^)


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神奈川歯科大学付属横浜クリニックインプラント科の林昌二先生です。

林先生とは、昨年開催された、ISOI国際インプラント学会へ出席させていただいたときに、IPSG20周年にお招きする、Weber教授よりご紹介いただきました(^_^)


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林先生は1996年にドイツ、チュービンゲン大学、Weber教授のもとに留学をされました。

稲葉先生が1978年、その18年後ということです。

今回お話いただいたテーマは、

『可撤性電鋳上部構造について』 

ということで、ドイツの最先端の歯科技術についてでした。


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林先生は、DGZI日本支部の初代会長をされ、ドイツから日本へ、日本からドイツへ

インプラントの歴史を繋ぐ、国際交流の架け橋をされています。 

ドイツ人は良いものを長く使う国民性があります。

アメリカは、新しい技術がめまぐるしく変わりますが、ドイツではほとんど変わらないように見えますが、 それだけ安定していると言えるでしょう。


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Tuebingenとの出会いということで、すごい記事をみせていただきました。

33歳という若さで教授となったWeber教授のお写真です。

こちらQDTの記事の中には

『チュービンゲン大学補綴第2講座の主任教授、Hener Weber博士が本学術大会において”固定性および可撤性の補綴における新しいテクニック”について講演される。1982年からチュービンゲン大学の教授となり、世界的に活躍している若手のホープである。〜中略〜西ドイツといえば、すでにご承知のごとく、アタッチメントコーヌスクローネをはじめとして、新しい治療様式の開発がさかんなメッカである。Weber教授は補綴学分野において新しい技術の開発を行っている事から考えて、いかに先駆的な研究をしているかわかっていただけるだろう。・・・』

というような内容で紹介されていました。 


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右下の写真は、林先生のお嬢様がWeber教授にプレゼントされた似顔絵だそうです。

ドイツ人は、既成のものを贈り物にするよりも、気持ちが入った手作りの贈り物をする方がずっと喜ばれるそうです。

この似顔絵も教授室に2年ぐらい飾られていたとか・・・(^_^)


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セミナーの中で林先生は、家族でドイツへ留学されていたので、今の人間関係を築く事ができたとおっしゃっていました。

大切は人といかに長く大事な人間関係を結ぶか。

は、ドイツでは特に一番身近な家族の存在が大きいということです。  


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林先生はチュービンゲン大学にインプラントを勉強しに行ったそうですが、Weber教授をはじめとする、先生方は、インプラントはどこでも学べるので、日本に戻ってからもできる研究の方がいいのではないかということで、

『電鋳加工』

について、大変熱心に研究を行ってきたそうです。 

日本ではなかなか受け入れられない風潮があるようですが、

ドイツでは、

「誰が行っても同じゼロフィッティングできる技術があればいいのではないか」

という考えだとお聞きしました。

鋳造や混水比による誤差を生じません。 

日本では以前にアルジネートを手で練っていますが、ドイツでは石膏もアルジネートもすべて器械研磨。(シリコン印象がほとんどなので、すでにアルジネートは使われていないと思いますが・・・)

誰が行っても同じ効果を得られて、誤差がない道具。

ドイツ人が考えそうですね(^_^)


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林先生の技術はどっしりとしたドイツ流で、IPSGの先生方との共通点も非常に多くあるように感じました。

咬合器付着とフェイスボートランスファーは必須です。


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林先生は、ヨーロッパ補綴学会で、電鋳の発表をずっと行ってこられました。

日本ではごく一部の先生方しか電鋳の効果を実感していないのが現状だそうです。

林先生も、天然歯とインプラントの上部構造に、ドッペルクローネで対応されていましたが、なにも問題がないとおっしゃっていました。

精度がいいということが、問題のない理由だと思います。  


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インプラントの植立位置を考える、咬合と応力がどこにかかるかをきちんと設計しないといけません。

この症例だと上顎の真ん中にすべて応力が集中することが、想像できます。

この10年の間に、インプラント治療をされた方の高齢化が一気に増えると予想されます。

その際、メンテナンスをしやすい形にすることが非常に大切だと感じます。

可撤性に変えられる構造に移行していく必要性についてお話をいただきました。

ただ、歯がないからインプラントをするのではなく、将来患者様がどのような状態になるかを想像して、次の一手二手を打つ必要があるとおっしゃっていました。  


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ドッペルクローネによる、インプラントと天然歯のコンビネーション症例など、他にも沢山の症例をみせていただきました。

ドイツ人のインプラントの設計は、最近見る、All-on4,6などに比べるとかなりしっかりとした印象がありました。

ドイツ人は、良いものを長く使うという国民性があります。

材料も新しいものに飛びつかず、10年残っている歯科材料にこそ信頼を持って使う事ができる。

とおっしゃっていました。

約2時間、大変貴重なドイツの最先端技術をご講演くださり、大変刺激的な内容でした。

その後の質疑応答でも、沢山の先生方からのご質問に丁寧に答えてくださいました。

今年の4月27日に開催される、IPSG20周年に繋がる素晴らしいセミナーだったと思います。

林先生、本当にありがとうございました☆♪ 

 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

第20回 IPSG学術大会開催されました☆【前半】

こんにちは。IPSG事務局、稲葉由里子です。 

2013年12月22日に第20回IPSG学術大会が開催されました。

沢山の先生方にご参会いただき、本当にありがとうございました。 

今回は10名の先生方の発表、そして講演が開催されました。

私、稲葉由里子と、稲葉歯科医院 佐藤孝仁先生でご報告させていただきたいと思います(^_<)-☆ 

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最初にIPSG会長の飯塚能成先生から開会のご挨拶をいただきました。

来年4月27日に開催される、

『ドイツ最先端義歯とインプラントの融合』

についての告知をしてくださいました♪ 


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稲葉先生の元医局員の先生方にご協力いただき、今回の会場は、日本歯科大学九段ホールで開催されました。

とっても素晴らしい会場でビックリしました。  


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トップバッターは、稲葉歯科医院、勤務医の佐藤孝仁先生です(^_^)

彼は卒後3年、稲葉歯科医院に勤務して2年になりますが、その成長は右肩上がり、とても著しいと思います。

『計画を立て学び、重続することの大切さ』 

ということで、お話をいただきました。

佐藤先生は、咬み合わせの大切さを学生の頃から感じ、稲葉歯科医院に勤務したときは、1年間はひたすら顎関節と咬合一筋で頑張りました。

そして、2年目は入れ歯治療を目標にして、勉強してきました。


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果たしてどうなったか。

ということで、二つの症例をお話いただきました。

▼症例1

左側の顎関節症と上下総義歯の症例


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上下の咬み合わせが悪く、朝から晩まで、寝ていても左側の顎が痛い。

というのが、主訴で患者様はとても辛い思いをされていました。 

咬合器で調べてみると・・・

咬んでいない。

開口量も 

早速、テンポラリーを作り、左側に関しては、PDRインサートを使用して顆頭を3ミリ下げました。

一週間後には開口量は40ミリまで開けられるようになり、痛みもなくなりました。

仮の義歯を作製し、様子をみているところですが、この時点で、患者様は非常に満足してくださったそうです。

顎関節症を伴った、総義歯の症例の治し方をIPSGで学んでいたからこそ、迷いなく取り組む事ができたのだと思います。

▼症例2

上顎総義歯、下顎リーゲルテレスコープの症例

大手美容外科にて下顎にインプラント治療を行ったのですが、すべて脱落。

もうインプラントは嫌なので入れ歯にしたい。

ということを主訴に来院されました。 


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このような、義歯を装着させていただきました。

そして、患者様からのアンケートです。 


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『想像以上の治療で満足感に浸っております』

と最後にお言葉をいただきました。

特に見た目を気に入っていただき、ご家族の方にも

「かなり良くなったね!」

とおっしゃっていただき、ご満足いただきました。

この二つの症例は、佐藤先生のこれからの歯科医師人生の自信に繋がったと思います。

治療が終わったら、おしまいではなく、そこからが患者様との長いお付き合いになると思うので、ここからの信頼関係は非常に大切ですね☆

佐藤先生、ありがとうございました! 


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続きまして、IPSG理事代表である稲葉智弘先生です。

『稲葉歯科医院(山吹町)について』 

ということで、開業6年経過し、その間に行って来た数々の取り組みについてお話いただきました。

景気動向に左右されずに、良質な診療を行いたいものです。 


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現在多くの歯科医院が陥っている傾向として、このような事が上げられます。

しかし、

夜間診療は無断キャンセルが多い。

夜間スタッフを確保する必要がある。

スタッフの疲労増大。

などは、すべて医院にとってマイナスとなります。

稲葉歯科医院、山吹町では診療時間を減らし、患者様の数も制限することで、診療を支えてくれるスタッフが丁寧な対応ができるようになります。

そして、大事な患者様がいつきてもいいようにスタンバイすることが可能となります。


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ということで、医院の雰囲気や衛生状態には細心の注意を配っています。

こちらは、KaVo社のクワトロケア 

水平感染予防、ハンドピースの故障軽減、スタッフの時間節約に大きな効果があります。

わずか2分で4本のハンドピースを清掃ケア、そして自動注油してくれるスーパー機器です☆ 


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そして、質の高い治療を行う。

こちらは片側リーゲルテレスコープです。  


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最近では、バイオコバルトを用いたテレスコープも取り入れているそうです。 


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稲葉歯科医院山吹町は、場所柄、フランス人の患者様が多く、稲葉智弘先生も積極的に、商工会議所の集まりに参加しています。

フランス・ジャポン・エコー(FRANCE JAPON ECO)の医療特集、またフランス商工会議所のホームページにも紹介されています。

外国からの患者様は、やはり口コミが一番多いようです。  


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いつの間にか、フランス商工会議所でもシャネルやエルメス、ルイビトンなどのフランス系企業と並んで、稲葉歯科医院のロゴマークを掲載していただいています(^_^)

開業6年というと、まだまだこれから大変なこともあると思いますが、これからも患者様の健康を一番に考えて頑張っていただきたいです♪ 


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湘南歯科医院 院長の奥山千恵先生です。

昨年に引き続き発表いただきました(^_<)-☆

『大人の咬合、子供の咬合』

ということで、幅広い内容でした。

咬合が崩壊している団塊の世代へのアプローチとして、テレスコープシステムで対応した症例をいくつか発表していただきました。

テレスコープは歯列の位置決めの自由度が高く、審美的にも理想的な場所に歯を並べる事ができるため、咬合も決めやすいというお話をいただきました。

患者様も治療後、何でも噛めます。

と来院の度におっしゃっていただけるということでした。

それほど喜んでくださると、毎回メンテナンスも楽しくなりそうですね☆

そして、奥山先生は、保育園や小学校の校医もされています。 


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116名の検診から、調査をされました。

ディープバイトが非常に多い事がわかります。

そのような子供は口輪筋の発育が弱く、口角が下がっています。

先生は、ラビリントレーナーや、NUKのおしゃぶりなどで、改善しているというお話もいただきました。 


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こちらの症例は、奥山先生のおばあ様だそうです。

10年前に治療したテレスコープシステムです。


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なんでも食べる事ができるそうです(^_^)

「そのひとに必要なハーモニックオクルージョンを作る。」

という奥山先生の言葉が印象的でした。 


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医療法人社団GRANZ 大津歯科医院 理事長 大津義重先生。

『GRANZ大津歯科医院での日常臨床』

開業25年余りで初めて経験した臨床失敗例から沢山のことを学ばせていただきました。 


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特に先生は、顎関節症の検査項目をとてもきちんとされています。


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失敗症例と言っても、きちんとフォローアップされていて 


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こちらの患者様のご主人様が、大津先生にテレスコープシステムで治療し噛めるようにしてもらったら、膝の具合が良くなったのをみて、自分も膝を治したいということで来院されたそうです。

アンテリアガイダンスの不良からだったそうですが、結果は体の姿勢まで変わっていました。

正しい噛み合わせは全身に関係していることがよくわかりました。 


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Cadiaxのデータもご覧の通り、治療前後で改善されていることがわかります。

このようにデータで比べる事ができるのは何よりの証拠ですね☆

大津先生、ありがとうございました♪ 


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午前中最後の発表は、医療法人社団 秋桜会 ICDC 木谷歯科医院 理事長 木谷光輔先生です☆

『インプラントコンビネーションテレスコープについての一考察』

ということでお話をいただいたのですが、IPSG20周年に繋がる興味深い内容でした。

テレスコープシステムは、稲葉先生の教えの通り、インプラントに頼ることなく補綴治療の大原則である、『安定した奥噛み習慣』を作る事ができます。

しかも非常に信頼性が高く咀嚼能力の向上が叶い、残存歯への過剰負担を回避できる、予知性高い治療法です。

ということで、お話をいただき、できるだけシンプルにインプラントをケースバイケースで導入し、いくつかの症例を具体的にご紹介いただきました。  


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こちらは、Prof.Koerberの義歯の支持の仕方による分類、義歯の支持方向についての平均5年間装着後の成功率を表す図です。

ドイツではこのような、装着後の考察に力を入れて今後の設計の向上に務めています。 


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木谷先生は、パーシャルデンチャーの欠点をインプラントを使って補う事を、ずいぶん前から治療に取り入れていらっしゃいました。 


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遊離端義歯の床の沈み込みを防ぐ目的で、インプラントをアンカーとして使う方法。

支台歯を守り、顎底の保護、そして義歯床の大きさを最小にすることが可能になります。 


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ここで、沢山の症例をご紹介いただいたのですが、時間の制限もあり、わたしのメモが追いつかない程でした〜(T-T)

前歯に3本インプラントが植立されています。

天然歯とインプラントの上部構造にはリーゲルテレスコープです☆ 


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もし、インプラントがなかったとしたら、床をつけることは必須ですが、このように、ほとんどブリッジの様な装着感で対応することができています。

万が一、インプラントや天然歯に不具合が生じても、可撤性なので、取り外し、床を増設することも可能ですし、どうにでも対応できると思うので、素晴らしいな〜と思いました。

すでに3年経過している症例です。 


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個人的に一番衝撃的だった症例はこちら。

3本の支台歯。

私の頭ではレジリエンツテレスコープしかありえませんでした。

奥4本インプラントを植立することで、なんと。

リーゲルテレスコープ症例になってしまいました。

患者様は大変喜ばれたでしょうね!

素晴らしいと思いました♪ 

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最後にテレスコープは、インプラント(の維持力)がなくても装置は安定し、動きがない、もしくは非常に少ない装置です。

とお話いただきました。

コーヌスクローネ+ロケーターの症例では、すでに7年経過症例もお持ちの木谷先生、大変貴重なお話を発表してくださり、ありがとうございました☆♪ 


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稲葉先生から

「テレスコープシステムとインプラントはお互いの弱点を補う事ができるでしょう。」

「テレスコープは単なる、インプラントオーバーデンチャーとは全く違う事を知っていただきたいと思います。」

とコメントがありました(^_<)-☆

*:..。o○☆゜・:,。*:..。o○☆*:゜・:,。*:.。o○☆゜・:,。

ということで、前半は終了し、後半の報告は、稲葉歯科医院勤務医の佐藤孝仁先生にお任せしたいと思います(^_^) 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

『成功曲線を描こう』石原明先生+稲葉繁先生コラボセミナー第2回【後半】

『成功曲線を描こう』石原明先生+稲葉繁先生コラボセミナー前半に引き続き、後半の模様をお届けしたいと思います。

3ヶ月に1度、計6回に渡り、IPSG顧問の石原明先生と稲葉先生のコラボセミナーを開催しています☆♪

毎回テーマが違うので、ご興味のある内容がありましたら、ぜひお申し込みくださいませ。

前回までのセミナーは、マーケティングを中心にお話をいただきましたが、今回からのシリーズは、『成功曲線』の思考をもとに、前回の講義内容を補完、発展させるような内容となります。 

ということで、今回のテーマは

『潜在意識の話ー目標を右脳にインプットするー』

ということで、お話いただきました☆


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最初に前回の『成功の習慣を考える』ー成功者の考えと行動の基礎知識とはー

について少し復習しました☆

人は、その思考や行動のほとんど(約90%)を習慣で行っています。

ということは、ほとんどのことに対して頭を使わずに、見に付けた思考の習慣、行動の習慣で対応しているということです。

実は成功するかしないかは、この身に付けた習慣の差によるのです。

良い習慣を身に付けている人は、何をやっても成果を上げ、悪い習慣を身に付けている人は、どんなに努力しているつもりでも悪いパターンを繰り返しているために、成果が上がらないということです。

自分の人生を変え、望んだ人生を手に入れるためには、まずこの身に付けてしまった考え方や行動の習慣を見直すことが大切です。 


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思考を入れ替える方法について

習慣=意識の深さ×反復

という、魔法の法則の復習をしました(^_^)

自分は自分の人生がどこで変わったかを意識することが大切だとおっしゃっていました。

また、

97%が無理だと思う事を成功する残り3%に人は全部できると考えます。

景気がよい時は儲かり、景気が悪い時はもっと儲かる人たちです。 

という言葉は、まさに石原先生の主催する

『高収益トップ3%倶楽部』のことですね(^_<)-☆ 


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そして今回の本題について上手に潜在意識に目標を入れる方法を教えていただきました。

石原先生のセミナーの内容はいつもちょっと内緒にしています。笑

とても具体的だったので、聞かれた先生方はびっくりされたと思います。

少しだけ、お伝えさせていただきます(^_^) 

いったん『潜在意識』に目標設定をしようものなら、それまでの何倍ものエネルギーを発揮する事ができます。『右脳はエンジン、左脳はハンドル』左脳は車で言えばハンドルです。

どこに行くかその方向を決めます。

そして一方右脳(潜在意識)はエンジンです。

しかもそのエネルギーは強烈なので、目的地を判断するという意志さえしっかりと自分で持っていれば、願った事は必ず達成されます。

読んでいるだけだとわからないかもしれませんが、体験が重なると上手にコントロールできるようになるかもしれませんね☆

右脳のエンジンを上手に活用して、小さな事からワクワクしながら右脳思考を身につけていただきたいと思います(^_^)

ということで、全国からお集りいただいた先生方、本当にありがとうございました!!

次回は、『目標設定ープランニングの技術を学ぶー』です☆

2014年2月23日(日)の予定です! 

お楽しみに(^_<)-☆ 

 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

『成功曲線を描こう』石原明先生+稲葉繁先生コラボセミナー第2回【前半】

 IPSG事務局、稲葉由里子です。 

先日開催された『成功曲線を描こう』石原明先生+稲葉繁先生コラボセミナー第2回の模様をお伝えしたいと思います☆

前半は、稲葉先生『正当派コーヌスクローネ』そして、後半石原先生の『潜在意識の話〜目標を右脳にインプットする〜』ということで、一日お話いただきました(^_^)

セミナーの報告も前半、後半に分けてお伝えいたします。 


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IPSGの新しいセミナールームでは、稲葉先生の手元が60インチの液晶テレビに大きく映し出されるため、まるで実習を受けているかのように先生方に学んでいただくことができした(^_<)-☆

今回のセミナーではコーヌスクローネの内冠製作方法、そしてコナトアの使用方法について詳しくお伝えさせていただきました。

コーヌスクローネは、補綴物が長期間にわたり正常に機能し、口腔内にとどまるのは正しい臨床操作と技工操作が行われて初めて達成されます。

コーヌステレスコープの場合、内冠製作から外冠製作、患者様への装着がいかにされたかが重要であり、よい維持力が発揮されるのは、正しい方法で正確にコーヌス角度が与えられ、これがコーヌスクローネに適した金属で製作されたか否かによるものです。

現在、最も問題とされているのは、維持力に関することであり、維持力が強い場合、あるいは弱い場合どのように対処するか、また維持力調整の前提として正しくコーヌスクローネが製作されたかどうかです。

製作の容易さという事から、コーヌスクローネのような形をしていても、実はコーヌスクローネではない補綴物が沢山出回った事から、その評判を落としてしまった事は残念なことです。

ぜひ、『正当派コーヌスクローネ』を身につけていただき、患者様に長く使っていただける様な治療をしていただきたいと思います。 


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コーヌスクローネの維持力を確実に発揮させるためには内冠の製作をいかに正確に行うかが重要です。

言いかえれば『コーヌスクローネの生命は内冠の軸面出しにあり』

と言っても過言ではありません。


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支台形成、印象採得の後、内冠作製用の模型上で、コノメトリーという操作を行います。 

※コノメトリーとは、コーヌスの装着方法を決定するための操作で、6度のワックスシャーバーを使い内冠の厚みが一定の厚みで歯頸部がもっとも薄くなり、アンダーカットができない位置を計測する方法です(^_^)

6度のワックスシャーバーで、全周を削りだします。  


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不平行支台の時、歯頸部にネガティブビンケルという不潔域が生じます。

このネガティブビンケルを解決するために、当時西ドイツの技工マイスターH.Pfannenstiel,R.pflaum,機械工学マイスターH.Breitfeldらによってコーヌス形成用装置である『コナトア』が開発されました。

稲葉先生が指を差している、6度の範囲で自由に調節できる雲台で、ネガティブビンケルの少ない正確な物が製作可能となり、大幅に作業能率が上昇しました。 


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こちらのパワーポイントは、IPSG副会長、岩田光司先生からご提供いただき、岩田先生に講義をしていただきました☆♪

前歯および臼歯を支台としたコーヌスクローネの場合、補綴物の装着方向に対してコーヌス角度を与えようにも前歯と臼歯の歯軸が一致していないため、前歯の歯頸部に多くの金属が露出して審美性を阻害したり、また、臼歯の遠心歯頸部にネガティブビンケルを生じて不潔部となる危険性が高くなります。

このようなとき装着方向に対して平行性を失わなければ、6度の範囲で自由に雲台を操作し、各歯牙の最も適正な内冠の形成が出来るのがコナトアの特徴です。

たとえば装着方向に対し、6度のワックスシェーバーを用い内冠のワックスアップを行ったとき、その内冠は装着方向に対し6度の余裕があります。

そして、内冠の軸面の一方を装着方向に一致させると、反対側の軸面には12度の傾斜が生まれる事になります。

しかし、これにより補綴物の装着は何ら阻害されないし、コーヌスの維持力も薄れません。

つまり各支台歯の各軸面がもつ装着方向に対する6度の余地は内冠の厚みを均一にし、審美性をよくする上で利用できることになります。 


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『コナトア』の使用方法を述べたいと思います。

印象採得された模型は前歯と臼歯で互いに平行性が認められない事が多いです。

模型を上方より観察し、全体的に平均した内冠の厚みがえられるよう補綴物の装着方向を決定した後、これを雲台にのせたままコナトアに載せます。

模型を載せた雲台の下に6度の範囲で傾斜が出来るように調整したコナトアを設置した後、各歯牙の最適な内冠の厚みをコナトアを傾斜させることによって測定します。

最初に前歯の測定を6度のワックスシャーバーを使って行うと、唇側歯頸部にアンダーカットを生じるため、模型全体を臼歯の方向に倒し、前歯を垂直に近づけます。

その後、6度のワックスシャーバーを用いて内冠の形成を行うと、均一した厚みでしかもネガティブビンケルの最も少ない内冠が得られます。 


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その際、臼歯の遠心には大きなアンダーカットを生じるため、コナトアを前方に倒し、臼歯部を垂直に近づけ、アンダーカットを少なくし、6度のワックスシャーバーを用いて内冠の形成を行います。

次いで他の歯牙に対しても最も内冠の厚みを得た歯型は一見バラバラなようですが、装着方向に対して平行性を失っていなければ補綴物の装着に何ら支障は生じません。

外冠がすべて連結され一体となった補綴物は内冠どうしは平行になる場所が出来ますが、装着方向に対して一致しているため、着脱は可能です。

コーヌスクローネの内冠製作上、最も大事なことは、ワックスアップされた軸面の仕上げがいかに正確に出来るかということです。

最初にお伝えした通り、鋳造された内冠の軸面出しをどのようにすべきかということです。 


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使用金属は、できる限り白金加金を使用すること。

100%時効硬化ができるものであればさらに望ましいです。

コーヌスクローネのトラブルの第一は装着後の維持力劣化にあるとされています。

硬度の高い弾性のある金属が適しているため、パラジウムのような金属では調整はほとんど不可能です。  

研磨に関しては、内冠に付与したコーヌス角度を正確に研磨することが必要です。

こちらは、稲葉先生が開発した、横型研磨器です。

当時KaVo社からK9研磨機として販売されていましたが、今では他社でこれを真似た研磨機が販売されています。

稲葉先生が開発した横型研磨機を回転させながら水平に固定したハンドピースの先端に取り付けた円盤の平面を当て、モーターで高速で回転させて内冠の研磨を行うものです。

時間的にも節約できると同時に、仕上がりも理想的で鏡面仕上げが可能です。

また、取り扱いも簡単で、初心者にも失敗なく正確に軸面出しが出来るところが非常に魅力的です☆

一度に何本支台歯があっても接着方向を決定したならば、常に同じコーヌス角度で一定の研磨が可能です。

研磨を行う軸の調整により、希望のコーヌス角の付与も簡単にできます。

まだまだ、コーヌスクローネについてお伝えしたいことは沢山ありますが、詳しくはすべて

『正当派コーヌスクローネ』  

の書籍で学んでいただく事ができますので、よろしければお買い求めくださいm(_ _)m

また、ぜひIPSG20周年、チュービンゲン大学補綴科H.Weber教授と稲葉先生の特別記念講演にいらしていただきたいと思います(^_<)-☆

こちらからチラシをご覧頂けます♪ 

IPSG20周年特別記念講演  

ということで、後半石原明先生の講演へ続きます。 

 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

2013『咬合治療の臨床』開催されました☆【後半】

前半に引き続き、『咬合治療の臨床』後半をお伝えします☆♪

こちらは、稲葉先生がドイツ、チュービンゲン大学で客員教授を務めていた頃、ドイツの学生達に教えたスライドです。

咬合面をチュービンゲンの地図で表したものです。

当時の学生には大変喜ばれたとか・・・(笑) 


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咬合治療の大事なポイントについて 

  • 体の中心軸を常に考える咬合平面は中心軸と直行する平面
  • 咬筋と直行する断面に咬合力が入る
  • 頭の重さは8キログラムそれを支える頸椎の安定を作る事が重要
  • 上顎運動と理解する
  • 顎口腔系の力は3球の梃子
  • 顎の形は5角形、将棋の駒と同じ(前歯が誘導すること)
  • 咬合面は8つの要素で作られている
  • 中心位と中心咬合位を確実に理解する 
ということを一つずつ詳しく解説させていただきました☆ 


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ところで・・・

上下の歯がどのように噛み合わさっているか、意識されていますでしょうか。

稲葉先生は、『高いところを削るのではなくて、高いところが通りやすいように溝を切る』と言います。

咬合紙を噛ませて、口を開いた瞬間、上下の歯がどのように噛み合わさっているのかわからなくなってしまったりしませんか?

なんとなく、色がついている所を、適当に削ってしまったりしてませんか?(-_-;)

高いところBコンタクトあたりをビュンと削ってしまうことは、咬合しなくなってしまうということですね。

この図をみて、覚えていただきたいのは、

『下顎は上顎同名歯の近心に噛みこむ』

です。

「当たり前だよね・・・」

という先生方のお声が聞こえてきそうですが、患者様の口が開いた状態だとそれすらも混乱してしまいます。

昨日の『咬合治療の臨床』の中で、稲葉先生は咬合はいくつかのルールを覚えておけばとても簡単だとお伝えしました。


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『下顎は上顎同名歯の近心に噛みこむ。例外は下顎の6番頬側遠心咬頭は上顎の中心窩にはいる。』

『上顎の咬頭は下顎の遠心窩に噛みこむ。例外は上顎67の近心舌側咬頭は下顎の中心窩にはいる。上顎45はシャープなので遠心窩』 

これだけ覚えておいてください。

と言うことでした。

これも・・・なかなか難しいです。

なので、

とりあえず、『下顎は上顎同名歯の近心に噛みこむ』 を覚えてから例外を覚えるようにするといいかもしれません(^_<)-☆


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稲葉先生の咬合調整はとても繊細です。

予防は今、もう当たり前です。

どんなに予防が進んでいても、咬合問題は解決していません。

咬合診断こそ、歯科医師の得意技にしていただきたいと思います。


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最後の質疑応答の時間も沢山のご質問をいただきました(^_<)-☆ 


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そして、懇親会の模様です。

熱いディスカッションが飛び交い、とても楽しい懇親会となりました。

先生方からも感想をいただいたので、一部お伝えさせていただきます(^_<)-☆

*:..。o○☆゜・:,。*:..。o○☆*:゜・:,。*:.。o○☆゜・:,。 

▼講義も常に進化しているのでついていくのに必死です。何度も受けてようやく少しずつ分かってきました。

▼何回か出席させてもらっていく中で最初は言葉もわからなかったものが、少し理解できるようになったことが継続して勉強することが大事だということが理解できた。

▼まだ勉強不足な部分も多く、全てを理解できたわけではありませんが、これから治療する時に本日聞いたことを意識して取り組みたいと思います。

▼3級の梃子や咬合面の出来てくる順など知らないことだったので勉強になりました。

▼非常に勉強になりました。理論的にもわかりやすかったです。実習に実際に参加させていただきたいと思いました。

▼昨日は、ありがとうございました。初めて参加させていただきましたが、みなさん、アットホームな雰囲気で、とても、良い感じで時間が過ぎて、とても、楽しかったです。

▼咬合面の形態をあれだけ具体的に説明を受けたのは初めてです。稲葉先生の知識の奥深さに感激いたしました。実習コース楽しみにしています。 

*:..。o○☆゜・:,。*:..。o○☆*:゜・:,。*:.。o○☆゜・:,。

ご参加いただいた先生方、ありがとうございました☆

次回開催される 

咬合診断アドバンス実習コースの詳細はこちらです(^_<)-☆

↓ ↓ ↓ 

咬合診断アドバンス実習コース